「きかんしゃトーマス」国連の要請で難民の黒人女の子機関車が登場

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イギリスで放送されている子供向け人気長寿番組「きかんしゃトーマス」が大幅リニューアルします。

シリーズ史上初めてトーマスがソドー島を離れて世界を旅するストーリーが描かれるといいます。

新シリーズは国連と提携して製作される事になり、ケニア出身「ホームレス」の女の子機関車ニア(Nia)が登場します。

「きかんしゃトーマス」がリニューアル、難民の女の子機関車登場(The Telegraph) – Yahoo!ニュース

国連の要請で追加される事になった難民の女の子機関車キャラ

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新シリーズでは「ホームレス」の女の子機関車、ニア(Nia)が登場しています。国連(UN)からの助言により誕生したキャラクターで番組を見る子どもたちに難民について学んでもらう事を目的としているそうです。

ニアはトーマスたちの走るソドー島に登場した初の黒人の女の子キャラクターでその他にもインド出身のアシマ、オーストリア出身のシェインなど国際色豊かな機関車が登場します。

 

新シリーズのこうしたストーリー設定は、女性の地位向上を目的とする国連の組織「UNウィメン」の顧問トルーロペ・ルイス・タモカ(Tolulope Lewis-Tamoka)氏によって製作されました。

氏は将来的にこの番組が女の子に対する暴力、男女同一賃金、女子教育などの問題を扱う「素晴らしい場」になる可能性もあると主張しています。

 

原作者遺族たちは納得しているらしい

国連の介入により「難民」「黒人」「女性」などの政治問題をいっぺんに持ち込まれた「きかんしゃトーマス」の新シリーズ。だいたいホームレス機関車って何だよスクラップにしろよ。

 

新しい第22シリーズのレギュラーメンバーとして追加されたアフリカ出身の女の子機関車ニアとイギリス出身の女の子機関車レベッカの登場によりTVシリーズ当初からのレギュラーメンバーだったエドワードとヘンリーとトビーを準レギュラーに降格し登場キャラクターのジェンダーバランスを調整したそうです。

 

新シリーズに関しては原作者のウィルバート・オードリー(Wilbert Awdry)の遺族も支持を表明しているそうです。ですが…もし作者のオードリー氏が存命だったら絶対に許してなかったと思うんですよねこれが…

 

原作者と番組制作側は過去に何度も揉めています

「きかんしゃトーマス」は原作者のウィルバート・オードリー牧師が息子を楽しませるために語り聞かせたストーリーで、話が広がりすぎて息子からつっこまれた部分など修正を加えたりしながら1945年に「3だいの機関車」として出版したのが始まりでした。

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作者のウィルバートは牧師で彼の教会にはトーマスのステンドグラスがあり、現在は文化財のように保存されています。

 

作者は元々鉄道マニアで「きかんしゃトーマス」に登場する汽車や作中で起きた事故や事件等も実際に現実で起こった内容を元にしている風刺作品でもあります。

原作の絵本は人気で、イギリスの放送作家ブリット・オールクロフトは作者を説得し映像化の了承を得て、人気番組「サンダーバード」の後番組として同じ製作スタッフの手により特撮人形番組としてシリーズ化します。

 

作者は映像化に対して否定的でしたが鉄道模型愛好家でもあった作者を説得するため、鉄道模型を使った人形劇という形態を採用し、登場する難しい鉄道用語なども含め、原作ストーリーをいじらない事を条件に出版されたエピソードのみを映像化するという契約だったのですが、第2シリーズの時点で原作のストックが足りなくなりウィルバートと息子がエピソードを書き下ろしたりしていました。

しかし続く第3シリーズで番組スタッフの書いた鉄道考証がされていないオリジナルエピソードの放映に憤慨し、製作側との関係が悪化し作者は不満の意を述べています。

原作者の意向もあり第4シリーズの制作には鉄道関係者をアドバイザーに招き、実際の鉄道事件を反映する内容になり突飛な演出や実際にありえないシナリオは極力抑えられるようになりました。

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作者ウィルバート(左)と息子のクリストファー(右)

 

原作者の死後はやりたい放題に

第4シリーズ終了後1997年3月21日にウィルバートが死去すると、権利はブリット・オールクロフト社に移行し契約はすぐに改定され第5シリーズからは爆発や大掛かりな事故シーンなどスペクタクルなシーンが増え従来のシリーズとは異なる雰囲気の作品となりました。そして続く2000年公開の映画版も大失敗に終わりブリットは責任を取るため製作から離れ2002年に権利が売却され製作体制が変更になります。

 

そして玩具展開のため原作に登場しないキャラクターが多数創造され関連玩具が急増しました。(後にアメリカ大手の玩具メーカー、マテル社に「きかんしゃトーマス」の権利を518億円で買収されます。)

 

新体制になるとより幼児向け番組という意識を強め、教養的なストーリーを採用しレギュラーメンバーに女性を追加したり市長を黒人にするなどポリコレが意識されるようになりました。

イギリス国鉄民営化により現実で悲惨な鉄道事故が多発した実情もあり客車の関連した事故などを出さないなどのストーリー上の制限が設けられ、これまでのシリーズのような鉄道考証は剥離されてゆきます。

そして2009年からは特撮人形劇のジオラマ製作からフルCGアニメーション製作へと変更されました。日本版ではナレーションも森本レオからジョン・カビラへと変更されました。

 

ジオラマからCG製作へ

2009年にコスト面などの問題から従来のジオラマセットによる製作からCGアニメーションへと変更されました。

私のような昔からのファンはあの味が良かったと思う部分もあるのですが、実際に表現力は格段にアップしていて違和感なく受け入れられます。

 

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「きかんしゃトーマス」の第1シリーズからジオラマ製作をしていたのはTV番組「サンダーバード」を作っていたAPフィルムズでしたが、サンダーバード自体も2015年に製作されたリブート版「サンダーバード ARE GO」ではCGによる製作が取り入れられました。

 

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1965年版から50周年を記念して製作された新シリーズの「サンダーバード」

登場キャラクターとメカをCGで描き、島や建物などの背景にあたる部分をジオラマで製作し合成する手法をとっています。

新たにサンダーバードS号というのが出てくるのですが、なんとデザインはマクロスシリーズの河森正治によるものです。

現在イギリスでは第3シリーズまでが放映されていますが日本では第1シリーズまでしか放映されていません。一昨年公式がYouTubeに期間限定で全話公開した時に一気に見たのですがなかなか面白かったので是非続きのシリーズの日本語版も製作して欲しいです。

 

まとめ

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アフリカのケニア出身のホームレス機関車ニアの登場に驚きですが、既に日本出身のD51(デゴイチ)のヒロなど国際化向けのキャラクターも登場していますしね。

元々風刺の利いた作品でしたがあまりに政治色が強く出てくるのもモヤモヤした気持ちにさせられますが今はそういう時代なので仕方がないのでしょうかね。

それでは以上、『「きかんしゃトーマス」国連の要請で難民の黒人女の子機関車が登場』でした。

 

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