モンキー・パンチ、小池一夫、高寺彰彦ら漫画家・漫画原作者の先生方に追悼
2019年の4月は11日に「ルパン三世」の作者モンキー・パンチ先生が亡くなられ、17日に「子連れ狼」の原作者の小池一夫先生が亡くなり、そして同月23日には闘病のため3月で廃業していた高寺彰彦先生が立て続けにこの世を去ってしまいました。
漫画家:モンキー・パンチ
「ルパン三世」などで知られる漫画家のモンキー・パンチ氏が4月11日肺炎のため死去しました。そのペンネームや画風から外国人だと思っていた人もいるそうですが、本名は加藤一彦といい、81歳でした。
モンキー・パンチというペンネームは当時の編集長が新人漫画家たちに対して適当に付けたもので本人は気に入っていなくて、いずれ変えるつもりであったがこの名義で描いた「ルパン三世」が大ヒットしてしまい変えるに変えれなくなってしまったという有名なエピソードがあります。
ルパンについて語る人は大勢居るでしょうし、モンキー・パンチの関わったアニメなど他の角度から作品の話でもしようと思います。
『緊急発進セイバーキッズ』
私の世代ですと『緊急発進セイバーキッズ』というモンキー・パンチ原作のアニメがやってまして大人向けのルパンよりも子供だった私にはこっちの方がささりました。
悪の組織スクラップ団の野望を打ち砕くべく立ち上がった天神林ファミリーが経営する子供たちで構成されたレスキュー隊「セイバーキッズ」が活躍するというストーリーで簡単に説明するとイギリスのTV番組「サンダーバード」のパク…オマージュです。
元ネタの「サンダーバード」は武装を持たない国際レスキュー隊でどの国にも属さずにトレーシーファミリーが独自に経営しています。世界中の通信をキャッチしては勝手に救助に向かうというとんでもないお話です。
プラモデルを作るほど好きでテーマ曲もいまだに歌えます。
www.youtube.comこんなアニメなんですが知ってますかね?滑り台からの戦闘機の搭乗シーンはまるで「サンダーバード」そのもの。
そして主人公の兄が操縦する大型輸送機はサンダーバード2号のように発進するなど元ネタを隠す気が一切なし。「サンダーバード」に関してはいつかきちんと語りたい…
『おまかせスクラッパーズ』
そして少し後の時期になりますとNHKで放映していた『おまかせスクラッパーズ』という作品。テーマ曲を歌っていたのが矢沢永吉で作品と全くシンクロしていない、すごいミスマッチ感のする曲でした。
このアニメは友だちが気に入っていて夕方になると友だちの家で一緒に見ていました。
この時期のNHKアニメは「飛べイサミ」とか「YAT安心!宇宙旅行」など良作ぞろいでした。
『MUSASHI -GUN道-』
そして最後は伝説のアニメ『MUSASHI -GUN道-』である。
モンキー・パンチ原作によるアニメ作品で構想から12年を経て製作された時代劇ガンアクション。武蔵という名の主人公が二刀流ではなく二丁拳銃で戦うというコンセプトできっと映画「リベリオン」みたいな戦闘シーンをやりたかったのでしょうが、人材と予算不足により引き起こされた作画崩壊や設定破綻により、2000年代のアニメとは思えない低クォリティの作品が世に放たれた事により逆に注目を浴びる事態となりました。
ニコニコ動画などの動画共有サイトが出来るより前で当時はふたばちゃんねるなどを通じてネタにされていました。
放映は2006年で『涼宮ハルヒの憂鬱』や『電脳コイル』と同時期のアニメだというから驚きです。それまでの作画崩壊の代名詞といえば『ロストユニバース』の第4話をあげる事が多かったのですが、その歴史を塗り替えた偉大な作品です。
モンキー・パンチはデジタル作画の先駆者
モンキー・パンチ先生には、ペンタブレット黎明期からずっとワコムを支えていただきました。
ご冥福をお祈り申し上げます。 https://t.co/r5UKG4Vh2Y— 株式会社ワコム (@wacom_info_jp) 2019年4月17日
ワコムペンタブレットCintiqPro24を使って作画している先生。あまりそういったイメージは持っていませんでしたがデジタルに強い作家だったのですね。
漫画原作者:小池一夫
「子連れ狼」などの原作者として知られる小池一夫先生ですが初期の「ゴルゴ13」も手がけています。
氏は「小池一夫劇画村塾」という漫画家や漫画原作者・映画原作者を養成する塾を開講し多くのクリエイターを輩出してきました。
劇画村塾では1000人を超える生徒を輩出していますが、有名どころでは高橋留美子、さくまあきら、山本直樹、板垣恵介、原哲夫、山口貴由、菊地秀行、堀井雄二などがいます。後輩の育成に力を注いでおり、とても面倒見の良い人だったそうです。
『子連れ狼』
小池一夫先生原作の代表作。柳生一族の手により妻と職を失った復讐のため、息子の大五郎と柳生一族全てを滅ぼす旅に出ます。
「長男の時代」
原作・小池一夫、画・川崎のぼる
父親が自殺して家族を養うために殺し屋家業に就いた長男・久能隼人。凄腕の殺し屋となった隼人を組織レインアームは仲間に引き入れようとするが隼人は拒否してしまう。組織は拒否された事により隼人に刺客を差し向ける。
ヤングジャンプで連載していた漫画ですがこの手製の拳銃を作る場面が問題になった作品です。
モンキー・パンチの死去に対してツイートも
モンキーパンチさんとは40年前、漫画アクションの初期に『ルパン三世』と『子連れ狼』で人気争いをしたライバルでもあった。一緒に組んで『書記官鳥(セクレタリーバード)』という漫画も作ったなあ。
淋しくなるなあ。— 小池一夫 (@koikekazuo) 2019年4月17日
小池一夫先生自身も病床にありながらモンキー・パンチ先生の訃報に対して最後のツイートをしていました。
漫画家:高寺彰彦
『サルタン防衛隊』などの作品の作者で長年、大友克洋のアシスタントを務め自身のデビュー後も自分の作品を描きながら大友の作品を手伝ったといい、大友の「童夢」では背景を殆ど1人で描きあげています。
高寺彰彦の描く背景には大友克洋も認めていて、大きな背景画も殆ど描き直しをせずどんどん任せていたそうです。
1巻だけで完結している作品ばかりで、そのキャリアに対して発表している作品量が極端に少ないのも大友と同様に緻密な作画などから本人の求める水準が相当に高かったのだろうと思います。
四肢麻痺により無念の断筆宣言
④ 自分の右腕には様々なテクニック、情感、魅力の表現などを教え込んで来たつもりだったが、それをもう この世に表す事は出来ない。
自分には未だに、有難いことに、仕事の依頼等もあるので、この事を報告しておかないと色々と迷惑もあるかと思い、ツイートする事を決意しました。— 高寺 彰彦 akihiko takadera (@Ace_Number1) 2019年3月12日
多発性骨髄腫と診断され5年にわたり闘病をしてきましたが、今年の3月に骨髄に血栓が生じた事により四肢麻痺を発症。胸から下が完全に麻痺し歩く事はおろか絵を描く事が出来なくなってしまったという事など置かれた状況をツイートしていました。
同時に死期がそう長くはないであろう事を匂わすようなツイートもありました。
この一連のツイートを最後に翌月58歳でこの世を去りました。
まとめ
私の少年時代はアニメ「ルパン三世」の再放送がよくやっていて、それはもう楽しんで見ていたのですがモンキー・パンチの原作漫画の方は大学生になってから読みました。私の大学時代は講義をサボって本屋で時間を潰し、当時復刻版として文庫判サイズで出版されたルパン三世をその時初めて読みました。
モンキー・パンチ先生をはじめ小池一夫先生、高寺彰彦先生のご冥福をお祈りします。
それでは以上、『モンキー・パンチ、小池一夫、高寺彰彦ら漫画家・漫画原作者の先生方に追悼』でした。